真新しいリクルートスーツを身にまとった学生を見かけるとわたしが新卒で転職活動をしていた時を思い出します。
最近、転職活動をしている大学生から質問を受けたことをきっかけで
「ああ、こういう所は、働いた経験がないとわからんよね」
と感じたことがありました。
現在、新卒や第二新卒での就職活動中の人や初めて正社員で働こうかと考えている人に知ってほしい内容です。
「社員募集の打ち出し方の裏にあるもの」です。
学生を対象とした人材募集マーケティング手法としてはすごいな〜と思った次第です。
ただし、あくまでも1個人の見解で、あの会社だと指定しているのではなく一般化したものとして判断してください。
相談を受けたのはこんな会社でした。
SNSと学生がよく利用するメディアをフル活用した選考
最初の会社説明会の日程予約はLINEのスケジュール管理ソフトから。
選考が進んでも、その連絡方法はLINEです。
オンライン説明会や体験会の開催などもZoomを使ったオンライン面接がメインです。
会社の面接官や会社説明を担当する社員もすべて入社1~3年ほどの若手社員ばかりです。
Zoomを使ったオンラインでの実施なので、向こう側では学生を見ている他の社員もいるでしょうが。
学生と年齢の近い社会人が話す言葉は、学生にとっては身近に感じられて親近感が湧くのかもしれません。
現在右肩上がりの急成長企業
グラフや図解を用いて、事業の成長を強調します。
その企業は、グループ会社の形態をとり、いくつか事業がありました。
実際には、本社の伸びではなく入社をする企業の業績のみの説明に終始していました。
将来的には、他のグループ会社への移行ができるとの説明がありましたが、ほんとに?
実際にそのグループ会社は機能してる?
突っ込みたくなるような資料でした。
事業内容の説明は一瞬、「仲間」「笑顔」「友達」など曖昧な言葉が続く
説明の最初にスライドにして1枚分だけ会社の事業説明がありました。
あとに続くのは、大切にしていること、仲間と働くこと、笑顔を見せる仕事…非常に曖昧な言葉の説明が続きます。
いわゆる「キラキラした働き方」の強調です。
Youtubeにアップされた企業説明の動画を見る限りでは、まるでサークルの勧誘のようです。
社会経験未経験の学生にとっては、そういった雰囲気がイメージしやすそうです。
また、社会に出る不安が多少なりともある学生にとっては「楽しく働ける」という価値観に疑いつつも飛びつきやすい印象です。
職場を決めるうえで「価値観」が合うことは非常に大切です。
その価値観に沿った「仕事」があることがもっと大切なのではないかな、と感じた次第です。
魅力的な福利厚生や就業体制
昨今、ブラック企業の話も多く新しく働く学生はそんな企業にあたらないかの不安があることでしょう。
福利厚生や就業時間や給与がはっきりと書かれていればきっとブラックではない、と思うことは無理もありません。
最短で〇〇に昇格した先輩も!など、若手が活躍できる職場アピールがあったりすることで、頑張りが評価してくれるんだ!と学生側は判断することでしょう。
収入面を重視する学生も多いため、具体的な給与体系を明確にすることも安心信頼材料になります。
報酬やインセンティブの表示で透明性をかもしだすこと簡単です。
こういった給与や就業体制は、事業内容から判断して「本人の仕事での成果」というよりは「労働力の対価」としての支払いなのだとわかることも多いのですが、就業経験がない学生からは判断がつかないことも多いでしょう。
今回見た会社は、ここでも曖昧な表現で完結しています。
本人にとっての「ブラック企業」というのは「こんなはずじゃなかった」会社に就職することではないでしょうか?
選ぶ学生がしっかりした判断を出せる企業説明が必要なのではないかなと感じました。
ここで疑問を呈したいのは、会社の事業内容をはっきり伝えずにオブラートで包んで分かりづらい伝え方をしていることです。
それでは「まとめ」いきましょう
おそらく、事業内容をしっかりと話してしまうと、若手社員が集まらない。
そんな企業がマーケティング手法を駆使し、説明会に参加する学生を増やす手法だなと感じました。
事実、相談してきた学生に「事業内容は?」と聞くと答えられない。
代わりに「今、とても伸びている業界の仕事って言ってた」という、なんとも曖昧な返事。
また、「3年たつ頃には、違う事業会社へ希望して移動できるらしい」とも。
実際に調べてみると事業的には「コールセンター代行」「携帯電話の販売代行」などでした。
大手企業が求めるコールセンターや販売の仕事にアルバイトや派遣社員を見つけてくる人材代行業務だけでなく、自社の社員も派遣するといった業務でした。
新卒のアドバンテージを使って選ぶ会社にしては、もったいないなと感じる…。
ものになるスキルがつくようにも思えないし、離職率も高いのでは?と感じました。
3年もかけてビジネスマナーを学ぶだけでは…と思ってしまうのは私だけではないはず。
特に新卒での職探しをしている人は、気をつけてほしいなと思った相談内容でした。