Web制作へ希望する転職者面接を数多くこなしてきた人の対談を聞きました。
「Web制作職の面接をする際に面談者のこの素養をみるよ」というものです。
Web制作を希望する人にとって、面接官は希望者の何をみるのかは気になるポイントだと思います。
その内容を自分なりにまとめて書きます。
心理学で言うビックファイブ理論と重ね合わせて説明できる5つの素養があります。
心理学者のルイス・R・ゴールドバーグが提唱した「ビッグファイブ理論」の5つの因子。
ビッグファイブ理論は、人間の性格を「外向性」「誠実性」「調和性」「開放性」「神経質的傾向」の5つの因子
仕事をするうえでも重要なものばかりです。
「外向性」スコアが高い人は他の人との行動したり一緒にいることに向いている
「誠実性」スコアが高い人は自制心が高く勤勉
「調和性」スコアが高い人は協調性や共感性がある
「開放性」スコアが高い人は好奇心旺盛
「神経質的傾向」スコアが低い人は情緒的に安定しており、ストレス耐性が強い
自分で考えて動ける人
「考えられる人」と判断する場面が3つほどあります。
ひとつに、実現したい目標を提示されたときにそれを実現するための道筋を描けることと、必要なモノ・コトをピックアップし、その優先順位をつけられる人です。
ふたつに、注意をされても「注意した本質」を見抜くことができる人です。注意したその根本的なことを理解し、同じ場面でなくとも失敗を繰り返さない人物です。
みっつめに、目標達成のために施策を考える・制作、実装・結果・次のアイディア…と自発的に考えて行動する人です。
クライアントやディレクターが気づいていない部分に対してもフィードバックができる人も動ける人であると言えます。
いずれも、クライアントの視線とユーザー側の視線から、制作をして行ける人、ということになります。
最初から、完璧にこなすのではなくあくまでも、こういった視野を持っている、その意識があることが大切です。
そして面接でどんな小さいことでもよいので「実際の経験」とともに自分の素養を主張しましょう。
考えられる、ということはデザイナーやプログラミングの技術をどうすればよいかということではありません。
自分だけのコツコツ仕事が向いているのであれば、デザイナーやプログラマーとして指示待ちで良いと思うのです。
質問力がある人
相手の時間を奪わないコミュニケーションに繋がるのが「質問力」です。
質問する時もされる時も、つねに明確な目的が大切です。
何が知りたいのか、何を目的にこの質問をするのか、もしくは相手は質問をしてくるのか、今注意をされているけれども相手の真意はなにか?
目的思考をもった「質問力」とは、つまり「質問の意図を伝えられること」「質問された内容の意図を察知できて返せること」「その質問は誰にとってどう解決するか」「その質問は目標としている道筋にどう関係するのか」を考えられるということです。
自分なりの仮説があるのであればそれを伝えることも大切です。
また、Web制作ではチャットでのやり取りも多い仕事です。
文字におこしたり、話をするときは「結論」から話すコミュニケーション能力。
「文章力」「言葉だけでなく言語化能力」「簡潔に、自分の意図を伝える」、これらも相手の時間を奪わないという気遣いでもあります。
正直な人
必須は「正直で素直な人」「強みも弱みも話せる」「自分のスケジュールを共有すること」。
Web制作は、デザイナー、マーケター、エンジニアなど多職種が関わるチーム作業です。
他のメンバーと協力しながら目標達成を追求するためには、自分の感情に振り回されない、オープンなコミュニケーションは必須の素養です。
周囲が忙しいからと言って自分で背負いすぎない「適切に頼る力」はありますか。
自分の未熟な部分(伸びしろがある部分)を認め、他の人の能力が自分よりも秀でていることを知り任せるほうが目標達成にとって有益であるならばためらわずお願いする。
逆に、自分もお願いされるのであれば自分のタスクを共有したうえで受ける受けないを判断する。
そして、そのためには自分のスケジュールや目標を常に可視化してチームと共有すること。
もちろん大前提として、職場が透明性があり、互いに信頼し、わからないことをちゃんと言える環境であること。
フェードバックを貰える関係であることはいうまでもありません。
面接時では、自分のデザインやプログラミングのスキルは最低限必要ではありますが、それらは定量的なのものでもあります。
すこしぐらいスキルが足りなくても入社してからカバーが必要ということが、面接時のポートフォリオで確認できれば良いそうです。
情報感度が高く好奇心がある人
Web業界は非常に移り変わりが早い業界です。
例えばデザイン一つとっても、すこし前あたった(例えば集客ができた、など)デザインと言えどもすぐに古いものとなります。
今のお目にかなうデザインとの差分をしっかりと認識でき、自分の中に受け入れられることが必須です。
常に好奇心をもって、幅を広げる情報収集がすることが大切である一方。
その情報の受け取り方も重要で、入ってきた情報に対して疑問をもって考え更に深く調べられるかも鍵となります。
これは、自分の中のバイアスにどれだけ気づけるかと言う部分でもあります。
情報収集して、疑問を持つ…本当に出ている数値は正しいのか、その主張はどういった根拠のもとに述べられているのか、これで本当に正しいのか、過去に同じような事例があった場合はどういった物があってどのデータを採用しているのかを調べる。
自分が興味を持っている分野の情報に対して「なぜ?✕5回」を繰り返して情報の深堀りをする練習をすることで情報収集のコツをつかめるそうです。
面接の場で「最近興味を持ったニュースや出来事はなんですか?」という質問の意図は、どれだけ深く情報を得ているかを探るためだそうです。
幅と深さの情報収集をする好奇心をいつまでも追求できることが大切です。
番外編:対談途中の疑問が浮かんだ話
雇った人材の失敗談としてこういう話がありました。
クライアントワークでのWebサイト制作の途中、事業フェーズに変更担った時のお話でした。
担当していたデザイナーが自分の価値観と合わないという理由でパフォーマンスが落ちてしまったことがあったとう話でした。
これまで「人に役立つ情報発信」だったのが「集客・販売目的」にフェーズが変更したときの出来事だったそう。
その対談では「いや、ビジネスなんだからそこはね。もっと広い視野を持って対応するべき」というお話になっていました。
ここには長年雇われる側として働いてきた立場からすると思う所がある話です。
プロのデザイナーとしての立場なら、一度任された仕事はやり遂げる。これは当然かなと思います。
一方で、雇われている会社の価値観がコロコロ変わるようではその会社に技術を提供する理由はありません。
クライアント相手の言いなりになる、というふうに会社の価値観に変化があったのかもしれない。
その価値観の変化が雇われている自分にあっていないのならば、転職を意識するのは当たり前かなと思うわけです。
クライアントの意向の変化が、しっかりと説明されていたのか?というところもありますね。
雇う側と雇われる側の価値観があっていることがとても大切だと感じる話でした。
それでは「まとめ」いきましょう
雇う側の人たちの対談をきいて思うことは「スキル」があることが大前提だということ。
当たり前の話ですが、世の中でみられるWebスクールは「スキルさえ身に着ければ仕事になる」ということが強調され過ぎなような気がします。
スキルの高さよりむしろ、「考え方」「検索力」「論理的思考」「本質へたどり着く方法」などが必須なのかなと思います。
これは、Web制作に限った話ではなく、すべての仕事において必要なものだとは思います。
必要なスキルや知識を最初から完璧に持っている必要はありません。
これらの素養があると面接で話せることで転職がスムーズになり、自己成長もでき、少しずつ現場で信頼される存在になれるでしょう。
どれも日常生活の中で意識的に磨いてゆける素養ですので、転職活動の間でも少しずつ意識してみましょう。