転職で希望企業へ応募する際に、自己PRで「自分のできることで、この企業に何ができるのだろう?」と考える人は少なくないと思います。
特にニッチな企業で働いてきたとき、「一生懸命、技術を磨いたけれどもこれは他の会社で使えない」そう思ってしまい、自己PR欄で止まってしまったりしませんか?
そんな人に、自分が取り組んできたことをどのようなポイントで自己分析してゆくのか、考え方のヒントを転職相談をうけた経験と自分の数ある体験から書いてみました。
今、同じことで悩んでいる人の参考になれば幸いです!
実際に転職相談を受けた時のこと
以前勤めていた会社の1つに、イベント制作会社がありました。
入社当時の私はアラフォー。業務上の先輩たちは新卒から入って2~3年目の20代前半の子でした。
その会社は、上層部ですったもんだがあり最終的には、若手ベテラン半々の社員構成割合だったその会社は、若手がほぼ全員辞めるという形になりました。当然のことながら私も同時にフェードアウト。
その頃に若手の子たちから転職に関して相談を何度か受けました。
みんな口を揃えて「自己アピールできるほど自信がない」「同じ業界に行くしかないのかな」「この業界だけにしか通用しない技術しかない」と悩んでいました。
確かにイベント制作会社の中は業界独自の技術職がメインでした。
身に付けなければいけないものは「パネルにポスターをきれいに貼る」「大判印刷をきれいに出す」「壁に経師する」「カッテイングをうまく扱う」「梱包を丁寧に移動中も商品にキズがつかないようにする」「決められた時間内に展示物を仕上げる」のような、パッとみると他の会社では活かせないようなことばかりと感じます。
が、私にとっては相談をしてくれた先輩であり人生の後輩の子達全員、可能性の宝庫にしかみえませんでした。
そこで私が初めての転職に悩んでいた子達に用いたのがリフレーミングを基礎としたスキルの洗い出しです。
リフレーミング(reframing)とは、心理学用語で物事の枠組み(fram)を違う視点から捉えてを意味を再構築(re)することです。考え方の見かたや捉え方や前提を見直すことで、あたらしい視点で物事を捉え直すことできるようになるための技術です。
よく聞くあれです。「コップに水が半分入った状態」をみて、「もう半分しかない」という見かたと「まだ半分ある」との見かた。
磯野家のお父さんの髪の毛が「頭頂にもう1本しかない」という見かたと「まだ1本ある、なんなら側頭にふさふさある」という見かた……ん?
「自己アピールできるほど社会人としての実績も経験も自信がない」
転職サイトなどに記載されている自己PRの例文は立派なものばかりで参考にならないと思う人はいませんか?
私、いつも「むむむ」と思いながら読んでいました。
例えば、
営業成績で社内トップを叩き出して社長賞をもらった!
エクセルのVBAによって、任意のマクロを作成して作業効率化で会社に貢献した!
すごいな、なんで転職するん?と軽いツッコミ。
こうのような誰が聞いても立派と思える実績は、必ずしも必要ないと私は思っています。
自己PRは、希望する企業に自分を採用するメリットを伝えることです。
上記に書いたようなスンバラシイことを達成した社員は、獲得した賞や客観的に説明しやすい技術が合ったために自分のメリットを相手に伝えやすいだけなのです。
何を自己アピールすればよいかと考える人は、パッとわかりやすく伝わる単語でがないだけで、実はたくさん持っていると思っています。
例えば、営業資料をわかりやすく整えられる。
これだけでは応募者100人中75人ができることだとします。
それだけでなくどうしてわかりやすくできるのかというと、もれなく抜けなく誤字脱字がないような独自のチェックを自分で作っている。
となるとどうでしょうか?応募者100人中15人ぐらいになるかもしれません。
更に更にそこに自分の独自工夫としてデザインの勉強もしていて視線誘導や見やすい文字、色の使い方も気をつけている、となるとどうでしょうか?
応募者100人中5人ぐらいになるような、自分だけがもつ自己アピールになりませんか?
このように一見同じようなスキルに見えてもそれを他の「できること」と掛け合わせてゆくことにより自分だけのスキルとなってきます。
これを深堀って自己アピールにしてゆきます。
とても個性的で、私を雇ってもらったらこんな事できまっせ、っていうアピールにつながりますよね?
自分がもつ「なんてことない、だれでもできそう」とないがしろにしがちなところを大切に深堀ってほしい、そう思います。
「同じ業界業種に行くしかないのかな…キャリアチェンジしたいのに」
「キャリアチェンジ」とは未経験の業界や職種へ転職することです。
キャリアチェンジをしたい時に自己PRは、これまでにしてきたことの中に共通する「要素」を抜き出すことだと思います。
共通する「要素」とは、汎用性スキルのことです。
汎用性のあるスキルを言葉にできれば、キャリアチェンジへの可能性は狭くないと思います。
[思考系]
ロジカルシンキング/批判的思考/創造思考/アイデア発想/問題解決/意思決定/戦略立案/マーケティング/企業会計/定量分析[対人系]
コミュニケーション/コーチング/アサーション/アンガーマネジメント/クレーム対応/プレゼンテーション/説得/交渉/ファシリテーション/ライティング[組織系]
マネジメント/リーダーシップ/フォロワーシップ/チームビルディング/モチベーション/人材開発/キャリアデザイン/グローバル人材/メンタルヘルス/ハラスメント防止[業務系]
ビジネスマナー/報連相/ビジネス英語/パソコン/データ活用/タイムマネジメント/業務改善/プロジェクトマネジメント/リスクマネジメント/エラー防止[知的生産系]
堀 公俊 著/ビジネススキル図鑑
情報収集/読書/整理/ノート/図解/文書デザイン/人脈づくり/雑談/情報発信/学習
さらに、MindMeister(マインドマイスター)https://mindmeister.jp/さんのサイトに詳細でわかりやすい記事が合ったので参考にさせていただきました。
1 知識
職種/業務の知見、業界/事業/機能動向の知見、業界/事業慣習の知見、最新企業動向の知見、最新技術動向の知見、海外動向の知見、顧客動向の知見、各種オペレーションの知見、専門機能/業務の知見、各種制度の知見、IT/システムの知見、デジタル技術の知見、リベラルアーツ2 技能
特定業務/事務作業実行、各種操作/手続き実行、特定機能/オペレーション推進実行、専門技術/業務、製造技術、語学、IT/システム関連、資料/書類作成、調査、リサーチ、アナリティクス、数理計算、文章作成、やり抜く力3 思考力
ロジカルシンキング、デザインシンキング、戦略思考力、仮説思考力、アート思考力、観察力、傾聴力、状況把握力、理解力、課題発見力、課題設定力、共感力、想像力、創造力、分析力、先読み力、判断力4 対人力
コミュニケーション力、質問力、交渉力、プレゼンテーション力、提案力、発信力/伝達力、働きかけ力、引き出し力、人的ネットワーク、リレーション構築力、チームワーク力、ファシリテーション力5 マネジメント力
谷 竜之介(たにすけ)さん【図解】汎用スキルマップで10年後も食べていくためのポートフォリオ構築をめざそう
チーム組織力、課題管理力、進捗管理力、タイムマネジメント力、利害調整力、動機づけ力、エンゲージメント創出力、変革推進力、組織マネジメント力、人材育成力、カウンセリング力、コーチング力、資源分配力、決断/意思決定力
(ちなみにMindMeisterさんが提供されているMindMapは非常に使いやすいです。自分のスキルの棚卸しをする時は、上記のリンク記事を参考にして進めることを超おすすめします。)
自分がこれまでの会社で行ってきた仕事は、汎用性スキルのどれに当てはまるのかを分析してみます。
今までいた自分の業界しか知らず、なにも自分にはスキルがないと思っていても、実は汎用性あるスキルを持っていたということは多いと思います。
私が経験した、イベント会社で担当していた、イベントブース壁面に貼る大判出力のスキルひとつとっても書き出すと汎用性スキルの宝庫です。
・PC知識、独自ソフトや印刷機オペレーションの技術
・依頼者様との、制作物に関する交渉
・他の制作物との進捗管理、タイムマネジメント
・現場施工の職人さんへの指示書・書類作成
・造作物との連携のため、大工さんとのチームワーク
・経験値と知識、素材を無駄なく制作するための数理計算と分析
などなど。多くのスキルを無意識に使って作業していることがほとんどです。
仕事は、慣れてしまうと誰でもできる大した事ないものと自分では捉えがちです。
ですが、自分自身ができるようになったことは言葉にしてみるとたくさんのことが複合的に重なってできているのです。
仕事を重ねるごとに、そのスキルもだんだんと磨かれているのです。
これに気づくことが、転職の成功に近づける一歩となり、次の職場に活かせてるスキルになります。
「ある業界でしか通用しない技術しか手に職がない」
すごいことです!と最初に伝えたいのです。
技術を手にするということはそれ自体、本人の努力と勉強と時間が必要となっているはずです。
そしてうまくなろうとする向上心。
それだけですごいことなのだと思うのですが、精神論だけではうまくいかないのが転職です。
培った技術とは別の全く違う業界へや職種への転職を考えるならば、その技術を獲得するまでの過程をアピールすればよいと思うのです。
自分なりに工夫したこと。
どのようにして仕事をしながら時間を捻出したのか?
教えてくれる人への質問の仕方。
実際の現場で失敗したこととそのリカバリをどうしたか?
最終目的はどのようなことを思って仕事をしていたか。
アピールできることは無限大です。
技術を活かしきった商品を納品した結果、お客さんに満足してもらえた。
質問の仕方ひとつ違えば、教えてもらえる技術の質が違った。
失敗してもカバーしてくれる先輩の存在が自分の目標になった。
狭い業界での技術といえども、その習得過程で人が考えることは違います。
技術そのものの話ではなく習得過程やその結果生み出した事柄を話すことにより、応募者がどのような価値観をもって仕事に取り掛かるのかを知らせることができるはずです。
その価値観と希望する企業の価値観が一致すれば、成功した転職といえるのだと思います。
それでは「まとめ」いきましょう
すごいことを成し遂げないと転職ができない、と考えている人。
どこにでも通用するスキルがないと転職できないと考えている人。
多いかなと感じます。
確かに、一見してわかりやすい実績やスキルを持っていると自己PRも立てやすく主張しやすいと思います。
逆に、なにもないと考えてしまっている人は、むしろチャンスだと私は思います。
自分のもつスキルを棚卸しでき、今後必要なスキル、目標の自分に足りない部分が明確になるためです。
転職は、深く自分を振り返るチャンス到来なのだと思います。
自分の人生において、費やす時間も意識の向け方も、「仕事へむかう」ことが大きくなる人がほとんどだと思います。
その仕事が、自分の納得した、充実した内容になるようにあがき続けることをこのブログでは応援してゆきたいと思います。